【買った】ヨット エデル4 その2

前回の続き。今回のヨット購入にあたっては、候補が3件あった。3つとも leboncoin で夫が見つけてきたのだけれど、40年以上の船で状態がよくて、値段もそこそこっていうのはまあヨットのことがよくわからない素人でも、探すのが困難であることは簡単に想像できる。結果ナントからかなり遠い(陸上距離にして200キロ)、サン・ブリユーにあるヨットを買うことになったのだけれど、3つの中で一番状態がよかったのはもちろん、他にも決め手になったことがあった。まず売り手の奥さんが私たちに初めて会ったときに「あら!お子さん連れなの?」とちょっと嬉しそうな顔をしたこと。たぶん自分たちと同年代のカップルが買うのだと思い込んでいたのだろう。それから子供たちが気に入ったのが、キャビンを開けたときに上からかぶせるカバーが保管されていたこと。売り手のご主人のほうが「うちはあまり使わなかったけど、こんなのもあるよ」って持ってきてくれた。


キャビンの上にある黄色いカバーがそれです。おじさんが出してきてくれたとき、家族みんなで「おおー!」ってなった。こういう便利グッズに弱い。


次はヨットをナントまで乗ってこなければいけないので(ヨットなので当然、水上経由だ!)、週末はヨットの整備と準備。…なんだか今年の春ぐらいから、ずっとこんな感じじゃないか?


新しいモーターはヤマハ、整備から帰ってきたところ。さすが世界のヤマハ、前のマーキュリーと馬力は変わらないのに、ずっと小さくて持ち運びしやすい!使い勝手はまだこれから。オカンにも回せるかしら…。


サン・ブリユー港の出口。向こうはイギリス海峡(ラ・マンシュ)だ。いつもの大西洋と違って潮の満ち引きが大きいらしいので、かなり心配…無事サン・マロまで行けるかなあ…。サン・マロまで行けたとしても難関はその先にもたくさんある。ランス川下るだけでも、ロックゲートが14個もある。ディナンではマストも降ろさなければいけないらしい。いつも思うのだが、我が家はなぜ仕事よりバカンスのほうがストレスが大きいのか。

もうひとつ夏の間にしなければならないのが、事故にあった古いヨットの処理。今もまだノワールムティエのエルボディエール港のボートヤードに保管されている。


こちらは大西洋側。

ヨットの廃棄にももちろんお金がかかって、見積もりでは1トンあたりだいたい1000ユーロと言われたのですが、これまた夫が古いヨットを引き取ってリサイクルしている会社を発見、しかもそんな会社がうちからすぐのルゼにあった。


リサイクルしたヨットを公園に置いて砂場にしたり、キャンプ場や庭に置いて寝室として使えるようにするらしい。たしかにうちのサイズのヨットだと4人家族なら十分寝られるからねえ。

というわけで、古いヨットはどこかの庭で第2の人生を送ってもらうことが決まったのですが、昨日モーターだけを取り出しに行ったときにコックピットにダンボール紙の置き手紙がしてあった。





「この船を以前所有していた者ですが、船を廃棄すると聞きました。思い出に船名のプレートだけでも譲っていただいたいのですが、お電話いただけますでしょうか。」





…以前所有してた人???

2代前までの所有者なら夫の知ってる人だけど、知らない人ってことは初代の方だ!

さっそく連絡してみたら、やはり一番最初にこのヨットを持っていた人だった。この夏うちの古いヨットのとなりで、何も気付かずに自分の今のヨットの船底ペンキ塗りをしていたら、一緒にいた奥さんが急に「あなた!となりのヨット!」って言うから何事かと思って見たら、昔所有してたヨットであることに気が付いたそうな。奥さんのほうが先に気がついたのか…。

確かに前のヨットは名前プレートがかわいい。


その初代所有者さんは元大工さんだそうで、このプレート、ご自分で作ったものだそうだ。そんな歴史があったとは知らなかった。

うちは全然かまいませんよ、でもリサイクル会社に一応聞いてみます、と返事した夫。

いや、これはあれだな。この事故にあったヨット、きっと退職前に一度、最初のご主人さまに会っておきたかったのだな。

こういうちょっといい話もあるから、うちらもちょっとは根性出して、新しい(中古だけど)ヨットで我が家の歴史を作るか、と思うことができる。

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