【読んだ】京大芸人


関西出身でもそんなに熱心にお笑いを見ていたわけではないので、昨今のお笑いブームにはまったくついていってないのですが、なんとなくフォローを続けているお笑いコンビが2つあって、そのうちの1組がロザンです(もうひとつは米粒写経、ようするに頭のいい人がお笑いをやっているというのが好きなんだと思う)。

めちゃくちゃ売れているわけでもないけど、ローカルテレビをつければそこにいる。レギュラー番組は途切れたことがないそうで、最近は二人とも結婚したり、子供ができたりして、芸人という職業を選択したことが正しかったことが証明されてよかったね、という気持ちでいたのですが、この本を読んで2人は自分たちのやり方で真剣にここまで目指してきたことがよくわかった。

「高校生のときから、2人でしゃべっていて楽しかったから」という理由で芸人になることを選んだ菅ちゃん。この本は菅が書いてるので、宇治原は若干フィクションが入ってるらしいけど(京大侍のエピソードはテレビでもしゃべってた)、宇治原も菅ちゃんのことを本当に最高の相棒やとずっと思ってきたんやろうなあ。こんな2人が学校で出会えたなんて、奇跡に近い。

菅ちゃんのすごいところは、自分が避けるべき選択を本能的にわかっているところで、10代でここまで自己分析ができるとは。40代でも間違ってる人けっこういるのに。最近菅ちゃんは『身の丈にあった勉強法』という本をまた書いたらしいけど、たぶん彼が一番言いたいのは「身の丈にあった」の部分だと思う。

こういうのは見守る両親としてはかなりしんどいものがあったようで、そりゃまあ京大まで行ったら普通反対しますわな。先日我が家でも、どちらかというと理系脳の息子が文系に行く友達が多いから文系にしようかな、ってつぶやいたときは「苦労するから絶対やめときなさい」って言ったけど。

でも理系脳で文系に進むことにも、なにかしらの出会いが待ってるのかもしれないし、未来のことは全然わからないのだからほっておく、という手だってあるのだ。親として手をだしたくなったとしても。

『京大芸人』は薄い本なのですぐに読めたけど、今ちょうど米粒写経のほうのサンキュータツオが書いた『国語辞典の遊び方』も読んでる途中。こちらは辞書愛にあふれていて、やっぱり何かに熱中している人のオーラっていうのは、文章でもお笑いの舞台でもテレビでもラジオでも伝わってくるもんだなーと思う。

追記:菅ちゃん、道案内でフランス人にあったら「給料いくら」とか「旅行にいくらかかったの」とかのお金の話をするのはやめたほうがいいと思う。

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