【見た】映画「未来のミライ」とナント美術館 Nantes 1886 Le Scandale Impressionniste

今週の日記。日本の祝日にあわせたわけではないけど、なんだか珍しく文化的な1週間に。

まず水曜日がKatorzaにて「未来のミライ」先行上映会、しかも日本から細田守監督が来るということで、チケットも完売。映画は素晴らしかった、間違いなく(監督がナントに!ということを別にしても)今年一番の映画。私の好きなブロガーのチェコ好きさんの記事の中で、下の記事は好きなものの1つなのですが、

「好き」「嫌い」をこえた芸術鑑賞法があるとしたら - チェコ好きの日記 

「未来のミライ」は「ああ、うちもそうそう、わかる!」っていう部分がものすごく多い映画で、それは監督も最後の質疑応答で「自分の家族の話を映画にしたけれど、最終的にはどんな文化や国でも通じるユニバーサルなことがらを扱う映画になったと思う」というようなことをおっしゃっていたので、この映画を見て「あ!これは私にメッセージを発してる!」と思う人は多いかも。あとはそのメッセージが「私だけ」にわかるものなのかどうか、がこの映画の好き嫌いを決めるんじゃないでしょうか。私にはかなりグッときました。ただあの階段だらけの家は子育て、絶対しにくい!今回の映画は美術の人ではなく、本当にプロの建築家に家を考えてもらったそうなのですが、洗濯機がミーレなところも、嫌味にしか見えなかった…私がひねくれすぎなのか?

こういう特別上映って他の人の質問が聞けるところも面白い。「監督の映画はいつもポジティブなハッピーエンドで終わってますけど、なにかペシミストな家族は描かないんですか。」っていう質問に答えてたときの監督は、会場から拍手がわくほどかっこよかった。


次が今日行ってきた、「印象派スキャンダル」となんとも見に行きたくなるようなタイトルの美術展。私は全然美術史なんかわからないけど、パンフレットとか説明を読んでわかったのは、印象派というのは登場した当初はまったく誰にも相手にされてなくて、1886年にナントで開催された美術サロン(そのときはトータル1800点ぐらいの作品が集まったそうだ)の主催者が当時の印象派の画家の絵も出品させたところ(印象派はアバンギャルドだとみなされていた)、コレクターたちが目をつけはじめた…というような流れ。そこで2018年のナント美術館で当時のコレクションを、オルセー美術館をはじめとする他の美術館の協力も得て、再現してみました、というのがコンセプト。
再現といっても作品は70点ぐらいしかないのだけれど、それってナント美術館およびナント市の力のなさというよりは、たぶん戦争なんかであちこちに移動しちゃってて、70だけでも集めるのは大変だったんじゃないかと思う。売買取引の資料みたいなものもあったけど、もちろん全部紙にインク書き。この時代の人たちが、今のデジタル社会を目にしたら、びっくりしすぎると思う。村上春樹が早稲田大学に資料を寄贈するっていうニュースを見たけど、資料や作品が散逸しないというだけでもものすごく価値があることなんだろうなあ。

そしてこの日もたまたま好きなブロガーさんのこの記事を読んで、


なんかいろんなことが妙にシンクロしてる1週間でした。私は岡本太郎にはなれないが。


*2枚目の写真は1886年にその美術サロンがあったというサン・タンドレ裏の大戦追悼碑の前。この日曜日が第1次大戦終戦記念日100周年の日なので、なにかあるかなと思ったら花束1つでまだ静かだった。でも道路をはさんだ向かいに椅子がたくさん並んでいたので、セレモニーはあるのでしょう、きっと。

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